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『新宿クレッシェンド』読了


新宿クレッシェンド

新宿クレッシェンド

  • 作者: 岩上 智一郎
  • 出版社/メーカー: サイマリンガル
  • 発売日: 2008/01/01
  • メディア: 単行本

 岩上智一郎さんの、『新宿クレッシェンド』を読みました。
 ブログ友達ですが、いつもの書評の如く客観的文体で綴ってみたいと思います。
 或る若い男性主人公が恋人に愛想をつかされ孤独に陥り、新宿の仕事を探し、その世界に飛び込んでいって四苦八苦する、という大まかなストーリー。主人公の抱える何重もの過去のトラウマが同時に描かれ、最終的には、そのトラウマを払拭し(乗り越え、と言った方がいいか)恋人と復縁する。
  人間にとって大事なものとは何なのか、という事がテーマとして隠されていると思う。
 最後に恋人と復縁して、彼女のことを、気恥ずかしさとも、過去のトラウマの呪縛からも超克して「愛してる」と口に出来た主人公。物語の初めでは、人生を自棄になって、金を稼ぐということにしか心の拠り所を見いだせなかった主人公、赤崎隼人が、本当に魂の奥底で求めていたものは恋人の前に素直になれること、そしてその事によって強く結びつく絆だったのではないか、と、言語では表現しにくい主人公の心の「納得感、安堵できる相手を得た何者にも代えられない幸福」といった形で、読者にも主人公、赤崎自身にも答えを与えてくれている。
 私が岩上君を尊敬するのは、自己の作品や自己の性格までをも、しぶとく客観視し、至らなきは自ら認め、高きを見据え追究を怠らない恐るべきバイタリティー、勉強意欲である。
 この記事は決して身内贔屓で書いてはいない。
 ネット上で公開され受賞した彼自身の秀作を、さらに推敲、加筆し、絶品に仕上げている。
 『新宿クレッシェンド』は、エンターテインメントの持つスピード感だけではなく、詩的な文体もさりげなく鏤められ叙情詩の持つ情緒も感じ得ることが出来る作品だ。
 奇才、豪傑、才気煥発な化け物(賛辞です)がデビューした事を本心から喜びたい。

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コメント

  1.  ご丁寧に記事まで書いていただきありがとうございます^^
     でも、ちょっと褒め過ぎですよw
     いつも気遣いすみません^^

  2. 山雨 乃兎 より:

    >岩上さん
    いえいえ、全然褒めすぎではないですよ。
    こちらも頑張ります。
    お互いに頑張りましょう。
    では、また。(^。^)

  3. 山雨 乃兎 より:

    >xml_xslさん
    ナイスを有り難うございます。

  4. 岩上智一郎携帯 より:

    俺も山雨さんのを記事にしちゃいました

  5. tama より:

    クレッシェンド・・まだ、買ってきたまま読んでいないです。
    どう変わったのか、楽しみです。

  6. 山雨 乃兎 より:

    >岩上さん
    拙著の紹介、有り難うございます。
    プロの作家の人たちは、文壇ごっこと揶揄したり、(しかし、実は、新人賞受賞もしてない人がプロ顔負けの文章を書いたりする事が現実に起こっています。そういう言葉はプロの意地なんでしょう。僕など完全に文壇からは嫌われていると思いますが)よくそういう事がありますが、僕の方も、客観的に世に認められる作家になるように頑張ります。
    >tamaさん
    詩的な文章が加筆されて、展開にスピード感が増しています。
    ゆっくり味わうようにも読める秀作です。
    どうか、今後も岩上君の作品をよろしく。(^。^)

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