田村裕さんの、『ホームレス中学生』を読みました。
うーーん、どう感想を書いていいのか、と困りましたが…。
自伝、ノンフィクションのジャンルにはいると思う。私小説的だが、私小説だったら全体の起承転結に沿って展開すべきに感じる。
田村さんは、お母さんを幼い時分に亡くされている。
その満たしきれない寂しさ、といった感情が伝わってくる。
後半で、お母さんとの思い出を、一行ずつ改行して書くのは読み手を意識した書き方だと思った。
誰にでも家族はあるし、自分の身に置きかえたら同情するのだろう。
木訥とした文章というのがあるが、この作品の場合作文のような文章でところどころたまに「だ調」になったりする。
普通は、木訥であって味わいを感じる文章というのが作家によくある文章だが。
ところどころ熟語もそれなりに使い、硬いのか柔らかいのか決められないでも言いたいことは分かるという口頭の説明を受けているような文章だった。それは、それで一つの形かも知れない。
中学二年生で家をなくして公園で生活するというのは、もの凄く辛い体験だと思う。
しかし、全編を読んで、この作品、麒麟の田村さんが書いたということが分かっているから価値があったと思えるのではないかと思う。
僕などではなく、二十代くらいの人が読めば、共感した泣けた、という感想になるのかも知れない。
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