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『さだのはなし』読了(追記あり)

 さだまさしさんの、ステージトーク集、『さだのはなし』を読みました。


さだのはなし ~さだまさしステージトーク集~

さだのはなし ~さだまさしステージトーク集~

  • 作者: さだ まさし
  • 出版社/メーカー: U-CAN
  • 発売日: 2011/05/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

 感想は、例によって、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 さだまさしさんのファンといえば、「暗い」とか言われた時代もあったんですね。

 『精霊流し』なんて、歌詞も悲しいし、旋律も悲しいですから。『防人の歌』なんて、

「海が死」ぬかよ~、と僕自身も茶化したことを思い出します。この歌も暗いです。悲し

みと人生の定めをそのまま歌った、誰もがそのことは考えたくないようなことを問題提起

してきます。一方、『関白宣言』などの、ユニークで力強い歌もあります。

 

 その佐田さんが、コンサートで、曲の合間に話した内容を綴ったのが、この一冊です。

 全編、読んでいて、この人(佐田さん)は、人情に厚い人だな、という感想を持ちます。

 小学・中学・高校時代の同級生と交友がつづいている。佐田さんご自身、長崎から天才

バイオリン少年として単身東京に出られ、そこで新しい友達をつくられる。中学一年から

親元を離れての独り暮らしです。その後、クラシックバイオリン奏者としての挫折。体を

こわしての帰郷。國學院大學への入学。アルバイトに明け暮れた学生時代。(正確な来歴

ではないかもですので、読者諸氏は著作物などでご確認ください)

 高校卒業のときに、仲間同士で卒業旅行に行こう、と発念され、アルバイトに行かれて

います。ビルの天井をつくるお仕事ですが、これが大変危険な仕事です。(高所だから)

そのときのエピソートが存分に語られます。ああ、佐田さんは、よくいる軟弱でそのまま

音楽家になったボンボンとは違うのだなぁ、自ら進んできついアルバイトも経験されてい

るのだな、と思いました。

 佐田さんの家では、お父さんが事業をされていて、その事業が佐田さんが小学校に上が

られる頃に左前になります。その佐田家の経済的状況が逼迫してくるなかで、そんなこと

は知らない佐田さんは、まだ当時は大きなお家に住まれていたのですが、友人を集めてご

自身の誕生会を開かれます。そのときに、おばあさんから特別なプレゼントが渡される、

と、前々から聞いていた佐田さんでしたが、当日、渡されたのは、おばあさんの手作りの

おにぎりでした。がっかりした佐田さんが、おばあさんにお礼も言わずに外へ遊びに出か

けてしまって、それでも、素直に喜んであげなかった自分は、祖母を傷つけたのではない

か、という後悔にかられて自宅に帰られます。台所に行くと、おばあさんが一人で、おに

ぎりをお茶漬けにして食べているのですが、その姿に、そして、「お前は、お腹いっぱい

なんだから、気にしなくていいよ。これは、私がちょっとずつ食べるから」と自分を責め

てもこない言葉に、その場で泣きじゃくってしまわれた佐田さんなのでした。と、そうい

う相手の気持ちになって相手の心をいたわるというエピソードが随所に出てきます。

 友人の奥さんが亡くなられたから、その夫である友人を慰めようと精霊船をつくられる

一大行事の顛末とか。

「人間、死んだら終わりではなくて、死んだ人は、生き残っている人の心のなかで生き続

ける」という佐田さんの死生観も随所で語られます。

 八丈島でのコンサートのために島へ行ったら、熱烈な女性ファンに行くところ行くとこ

ろ自転車でついてまわられた、というようなエピソードから、コンサートの合間に予定を

割り込ませて行こうとしたゴルフ場へ、飛行機の遅れがたたって間に合いそうになくなっ

たところを、運転するときに豹変するタクシー(中型ワゴン車)の老齢運転手に助けられ

たなどというお話もあります。

 ステージトークだからお客さんに語りかける口調は当たり前かも知れませんが、お客さ

んをときには笑わせ、決して自分の伝えたいことだけを一方的に話されるような棒読みの

話し方はされない。

 繰り返しになりますが、佐田さんという人は、他人の心を察知しようと心がけていらっ

しゃる。その上で、相手の状況を理解した上で、「辛いけれども、頑張ろうよ」と声をか

けられる。

 曾祖父が玄人だったとか、叔母が被爆者だった来歴が現在の佐田まさしさんを形成する

上での要素にもなってると思うけど、やはり、ご本人の一本筋の通った負けん気・根性と

いうものも感じる。

 一生懸命生きている人でないと、人の胸をうつトークはできないですからね。

 ヒット曲だけを聴いてきた僕のような曖昧なファンには、さだまさしを深く知ることの出来る一冊だった。

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ミニ シーズ(這い)

コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    ナイスを有り難うございます。
    感想、すこしお待ちくださいね。(^。^)

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