保坂和志さんの、『季節の記憶』を読みました。
鎌倉の或る地域が舞台。
離婚して、ライターの仕事をしながら息子を育てる主人公。(中野)(男性、40代前半)
その主人公を取り巻く兄妹、夫と別居して娘を育てるナッちゃんという女性。
ときどき訪れる風変わりな友人たち。
ストーリーがとくになく、日常が描かれている。
息子が訊く、大人でも答えを持っていない疑問。
子供を相手に、疑問に真摯に答える主人公。決して有耶無耶な答え方をせず、きちんと説明する。例えば宇宙の構造など。(例えばです。本文中にあったかどうか憶えてませんが)
息子と主人公の会話。大人と大人の議論的な会話。
小学校にあがる前から文字を教えるべきか、で議論する大人たち。敢えて、幼児に文字を教えないのには教えない意味がある、という主人公の考え。
主人公のなかには常に、物事に対する深い議論と考えがある。脳のなかで、いつもじっくりと考えている。主人公は、一般的な結論づけられている物事にも、常に疑問を持ち、自らの見解を持っている。
保坂氏は、哲学、いや特に心理学を意識して議論的な会話部分を書かれたのかな、と途中から思いました。
子育てを経験していない僕にはリアリティーが出せないので、僕には書けない作品かな、と思います。
自分が子供の頃をも思い出させる、ほのぼのとした小説でした。
余談、記事アップの時に、ソネブロマジックで、文字が全部一旦消えました。(ハァ…)
コメント
「季節の記憶」読みました。保坂和志さんは好きで、何冊か持っている文庫は、どれも読み返しています。淡々と綴られる日常、という感じが好きなもので^^;。
>sakamonoさん
保坂さんの小説は、初めて読みました。小説作法の本も沢山書いていらっしゃいますね。
正に、文体の味わいを感じます。
センテンスが長くて、初めはとっつきにくかったけど、読んでいる内に、それが心地よくなってきますね。(^。^)