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『私の聖書ものがたり』読了

 阿刀田高(あとうだ たかし)さんの、『私の聖書ものがたり』を読みました。


私の聖書ものがたり

私の聖書ものがたり

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2004/11/26
  • メディア: 単行本

 感想は、追記で挙げますので、しばらくお待ち下さい。

 

   追記・感想

 

 阿刀田高さんが、聖書(旧・新約)を分かりやすく紹介されている本。

 以前に手塚治虫さんが、旧約聖書を題材にされた漫画を書かれていたらしく、それには

剰り脚光は当たらなかったが、文章と併せることで、多くの人により分かりやすく提示で

きないだろうか、という試みで、この本を作られたそうです。

 

 旧約の出来事・新約の出来事、それぞれに、紹介されたあと、その都度、阿刀田さんは、

「こういう事ではなかったのだろうか。貴方は、どう捉えるだろうか」という風に、解釈

に関して言い切る形ではなく、読者それぞれに考えさせる提示のされ方を為されている。

 

 例えば、旧約の登場人物の生きた年数が異様に長いことについても、「偉い人は、長生

きした」という神話的に描くことによって重みを持たせたのではないか、という独自の解

釈がある。

 実は、このことについては、私も正直分からない。

 聖書の中では、ノアの大洪水の手前の段階で、人間の寿命は「長くても120年」とい

うことになった、と記述がある。理由として、人々が神を離れて偶像崇拝をし、それぞれ

好む者を妻に娶ったから、神が見放した、という意味のことが書かれている。(私は、剰

り神学に詳しくないので、推測交じりの事も書くが)結婚は、ラビ(地域の小集団の人生

の先生のような者、と私は捉えているが)の許可を得て、お互いの両親の許可を得て成立

するものらしいのである。現在でも、ユダヤ教では、恐らくそうだと思うのだが。

 話しが脱線するが、新約の時代になってからは恋愛結婚も許されているが、婚前交渉は

概ね許されていない。お互いが留めおく事が出来ない感情の昂ぶりによって結ばれてしま

った場合は、すぐにお互いの両親に報告して結婚しなければならない。既婚者(特に、女

性の)不倫はユダヤ教ならば死罪。キリスト教でも罪である。離婚・再婚に関しても、相手(夫や妻)

が不貞をはたらいた場合で、尚かつこちらには何の疚しい処がない場合にしか許されていない。若し

くは、伴侶が死んだ場合だけである。これは、現在のキリスト教でも同じであるが、現在の教会など

がこの戒めを完全に護っているとは言えない状況である。(進歩的な海外の牧師などは、平然とこの

聖書が示すことを超えたことを言う。アメリカがキリスト教の国だと言うが、この点を見れば、キリスト

教の教えを、とても実践しているとは言えない)

 話しを元に戻すが、旧約での記述では、このノアの大洪水の後でも、登場人物がかなり

長生きしたという記述がある。360年とか生きた、と記録されているのである。また、

ノア自身も長生きであった。

 このことの解釈については、前述の「長くても120年」と神が決めて以後も、きちん

と律法(モーゼの十戒。さらにトーラー)を護る人には、長い寿命が与えられた、と私は

解釈している。神が、一旦、人の寿命を決めた記述に関して、いのちの言葉社の聖書の解

説を読んでみると、「律法に則った生活に戻るまでの、猶予期間とも解釈される」と(正

確な文面複写ではないが)書かれていた。

 しかし、現在、300年以上も生きている人は居ないし(ユダヤ教の律法を護っている

人も居るだろうが、そういう人の中に居る、という話しも聞かないし)、このことは、私

にとって謎である。

 しかし、もう少し正確に聖書を読めば、恐らくモーゼが幾多の神の使命を遂行した期間

が、120年では足りなくなってくると思う。(済みません。剰り聖書に通暁してないの

で、正確なことは言えませんが)だから、私は、この、旧約の登場人物の齢に関しては、

そのまま聖書の記述を信じている。

 それにしても、聖書は奇跡の連続だ、とあらためて思う。

 特に、旧約の時代は、人間の嫉妬などから酷い事件が多発している。それに対する神の

怒りも凄まじい。加えて、神が、それでも許されて人々の指導者として用いられるという

ことも起こっている。

 最近、他の本も読んでいて思ったことだが、神の愛は、こういう人だから愛するという

愛ではなく、父が子を思う愛なのだと再認識した。どんなに不徳の息子でも血の繋がった

子であるなら、父母は子を愛する。そういう愛なのだと。

 少し偏った感想内容になったが、この本は、聖書全体をまず、ざっと把握するには非常

に分かりやすい。

 貴方も一度、読んでみては如何だろうか。

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