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佐藤優『「ズルさ」のすすめ』読了(追記あり)

佐藤優さんの、『「ズルさ」のすすめ』を読みました。


「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2014/12/02
  • メディア: 新書
 例によって、感想は、追記をお待ちください。
   追記・感想
 外交でも、「ズルさ」は必要。それを仕事や生活の場面で活用しようという論旨。
 「お前、嘘をつくな」と言えば喧嘩になる。「お互いに正直にやりましょう」と言い換
える。そんな「ズルさ」を持とう、と。
 会社、役所、学校、世間などでは、適宜「ズルさ」を発揮してストレスを極少にする。
そして、自分が本当に大切にする家族、友だち、恋人とは、「ズルさ」や駆け引きを抜き
にした、誠実な関係をもつ。【本文引用】
・人と比べない
・問題から目をそむけない。
・頭で考えない
・時間に追われない
・酒に飲まれない
・失言しない
・約束を破らない
・恩を仇で返さない
・嫌われることを恐れない
・人を見た目で判断しない
・上下関係を軽んじない
 職場で、同じフロアで大勢の人が一斉に作業をすると、自然に競争が生まれ、みんなが
早くしようとする。
 競争は大事だが、競争だけの人生もつまらない。職場での出世は、予めどこまで行ける
かが決まっている。
 人生は、不公平。それに折り合いを付けていくことが大事。
 問題を、小さなうちに察知し、適切に初期に対処することが大事。そうでないと大きな
問題になることがある。
 本質的な問題と疑似問題を区別し、本質的な問題の解決を優先させる。
「何をやっても無駄だ」「自分たちが何をしても変えることはできない」というニヒリズ
ムが、今の日本では有るようである。マイケル・サンデル教授のコミュニタリアンの考え
方で、コミュニティをつくって一緒になって共通の問題と向き合うことで、人間はさまざ
まな問題を克服できる、と信じよう。
 成功している人には、直観力がある。この辺りの述懐は、斎藤孝氏の『違和感のチカラ』
で述べられていたことと同じである。最初に違和感を感じた相手とは、一緒に仕事をしな
いように心がけておられる。大抵、直観が当たるからである。ロシア人やイスラエル人は、
直観力の鋭い人が多い。理由については、本編を読んでください。
 論理思考には、限界がある。理屈一辺倒の人ほど、仕事ができない。
 共同体や家族とのつき合いが濃かったから、直観力も磨かれていた。それは、「降りて
くる」ようなもの。外部・他者との関係がなくてはならない。神も含めて。
 直観人間になるには、多くの人と会って話をしたり関係を築いたりして、人としっかり
向き合うこと。向き合うのは、海や山といった自然でもよい。或いは、宗教か、「代理経
験」。本を読んだり映画を観たり、ということ。
 新しいもののなかにこそ、無駄がある。ここでは、G-mailの情報漏洩のことを書かれ
ている。
 時間を無駄にしないためには、必要な時間を最初に天引きする。
 予定を目一杯埋めるのではなく、何もしない時間をわざと空けておく。その時間が後に
臨機応変に使える。
 孤独になる時間を、敢えて作る。
 完全に酔ったときに、意識を失うタイプか、体だけは元気で動きまわり、後で記憶がな
いというタイプか、に分かれる。後者は事件に巻き込まれる危険性もある。
 自分の場合、どれだけ飲めば、酩酊するか、を理解・把握しておこう。
 外交には、ハニートラップという戦略があるが、勝てるようになろう、と。
 何かに酔っているからこそ、人は生きることができる。仕事上の愚痴を飲んだ席で女性
は言わない。だから、男性の場合、一緒に飲める女友達がいると人生が楽しい。
 失言には2種類ある。無知から来る失言。偏見・偏向から来る失言。それぞれの対処策
を書いてある。私がとくに思うのは、怒りの感情に駆られたとき、相手の不正が許せなく
なって批判してしまうタイプの失言に気をつけたい、ということだ。自分が正しくても、
強くは攻撃しないことが大事だと思う。しかし、怒りという感情が心を占拠しているとき
は、行動が機敏になる。一刻も早く相手を攻撃したいと思ってしまうのが人間だ。
 「ロジックとレトリックを使う」という、相手への批判が柔らかくなる方法についても
書かれている。
 恩を仇で返さない、の項では、恩を受けた側は、受けた恩を小さく認識してしまう傾向
にあるので気をつけないといけない、と書かれていた。いささか耳が痛い。
 人間、完全な人はいないので、恩を受けたことに関しては、はっきりと口に出して感謝
の意を表することが大事で、たとえその人に好感が持てなかっても、受けた恩は厳然とあ
るのだ、ということを再確認した。

 全編を紹介するのは避けたいので、この辺で筆を置く。
 この本で書かれている、「こう生きるべき」ということは、戦前・戦中・戦後すぐ、の
世の中では、誰もが内心で意識していたことだろうが、現代では、こんなことも一冊の本
にして教導しなくてはならなくなったのか、と感嘆した。

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