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『ダンスホール』読了(追記あり)

 佐藤正午さんの、『ダンスホール』を読みました。

ダンスホール (光文社文庫 さ)

ダンスホール (光文社文庫 さ)

  • 作者: 佐藤正午
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 文庫

 感想は、追記をお待ちください。

 

   追記・感想

 

 実は、ストーリーがよく分からなかった。

 作中人物によって語られる死生観。

 人間が、死期が近づいたとき、どう考え、何を誰に託そうとするか。

 西聡一と、私という二人の視点から、全体に進行しているストーリーが描写される。

 しかも、視点が、現在や過去につぎつぎに移動する。

 都市で起こった銃弾発射事件。

 それに巻き込まれる描写はリアルである。

 再読に耐えるディテールの深い文章なので、何度か読み直すと本編のストーリーを把握

できると思う。

 細かい泡が一カ所で起こって、それを細かく描写する。また、別の地点でも細かい泡が

起こって、それを細かく描写する。そうして、細部から浮き上がらせていった描写が全体

として読者の頭のなかでドッキングして、「ああ、こういうことだったのか」と、後に行

けばいくほど分かってくる。

 離婚を望む妻に、そこまでしてやるか、と思えるほど厄介な世話(元妻が結婚しようと

している男の、別れてくれない元妻に離婚届を書いてもらいに行く)を頼まれ、実行する

主人公。しかし、深く読めば、主人公にそうせざるを得ない理由があるのかも知れない。

 ダンスホール、という語がキーワードだが、それが最初の内、謎として出現する。

 「どういうことなんだろう」と思わせる謎を何度か呈示して、物語は進行する。

 主人公の内の一人は、現在はあまり書けなくなっている作家だが、この人に関しても謎

が多い。また、ハードボイルドなきわどい世界を生きているようにも思わせる描写も出て

くる。

 再読に耐える上質な作品だけに、救われる。

 何がどうなっているのか分からない読後感だが、もう一度読むと、輪郭をさらにつかむ

ことができそうだ。

 小説というのは説明(または論文)ではないので、こういう作品を読みかえすことが、

読書の愉しみと言えるだろう。

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コメント

  1. 山雨 乃兎 より:

    >ビター・スイートさん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)
    >凉月さん
    ナイスを有り難うございます。(^。^)

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