MA(マーケティングオートメーション)ツールを使いこなすには、顧客とのコミュニケーションを最適なタイミングで行うことが不可欠です。しかし、この「最適なタイミング」を見極めるためには、入念なセグメント設計と顧客の的確な分類が求められます。
今回は、MAツールを最大限に活用するためのセグメント設定方法や分析手法を詳しく解説します。
顧客セグメントとは?
顧客セグメントとは、顧客を所属先、役職、地域などで分類したグループを指し、セグメンテーションと呼ばれるプロセスを経て作成されます。近年、価値観が多様化する中で従来のマーケティング手法が通用しづらくなっています。このため、顧客を細かくセグメント分けし、ターゲットセグメントを明確にすることで、的確なマーケティング活動を展開することが効果的です。特に、自社にとって優良顧客となる可能性が高いユーザーを見極めることは、あらゆる業界で非常に重要です。
効果的な顧客セグメントの作成方法
BtoBにおけるユーザーの分類軸は、以下のように多岐にわたります。
Webサイト訪問回数によるセグメント
・初回訪問
・リピーター(訪問n回目)
・1日で複数回訪問
・初回訪問からX日以上経過 など
今の時代、BtoB・BtoCを問わず、ユーザーの興味に応じたマーケティング活動が求められています。「初めて自社のWebサイトを訪問したユーザー」と「複数回訪問しているユーザー」では、アプローチを変える必要があります。
流入経路によるセグメント
・メールからの流入
・広告経由の流入
・自然検索流入 など
流入元を分析することで、マーケティング施策の精度を高めることができます。例えば、広告からの流入が多い場合、SEO対策を見直す余地があります。
属性によるセグメント
・年齢
・役職
・所在地 など
BtoBの購買プロセスには多くの人が関与しますので、役職や年齢に基づいた情報提供が不可欠です。地域別にセグメンテーションを行うことで、特定のセミナーやイベントの告知にも役立ちます。
行動履歴との連携も不可欠
MAツールを使ったマーケティングでは、以下のような行動履歴を活用することが重要です。
・商品ページの閲覧回数
・会員登録の完了
・最終成約日からX日以上経過
・資料請求の完了
・メールの開封/未開封 など
たとえば、Q&Aページの閲覧や資料請求は、顧客が抱える課題を示す重要なシグナルです。このような情報を基に、適切な課題解決の提案を行うことで、購買決定を後押しすることができます。
MAツールを活用した分析と計測の力
MAツールを使うことで、様々な分析や計測が実現できます。ここでは、特に重要な分析項目を詳しくご紹介します。
見込み客ごとの行動履歴を深掘り
MAツールを活用すると、見込み客ごとの行動履歴を詳細に分析可能です。以下のようなデータを取得できます。
過去に閲覧したページや、特に滞在時間が長かったページ
ダウンロードした資料の種類
お問い合わせの履歴 など
これらの行動履歴を解析することで、どのサービスや商品に興味を持っているのかを把握し、効果的なアプローチが可能になります。
企業名の特定と見込み客の発見
MAツールでは、IPアドレスを取得することで、企業名の特定ができます。自社のWebサイトを訪れている企業は、高い見込み客となる可能性があります。この情報をもとに、代表電話やFAXをDMの配信先に追加し、積極的にアプローチすることを検討しましょう。
メールからのアクションを測定
メールマーケティングにおいて「開封率」は重要な指標ですが、通常のメールクライアントではこの測定が難しいのが現実です。MAツールを活用すれば、見込み客リストの最適化が可能となり、高精度なターゲティングメールを送信できます。さらに、開封率だけでなく、メールを通じて実際に行動に結びついたかどうかも計測できます。
MAツールを活用した分析における注意点
MAツールでの分析には注意が必要です。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
1. リードの数に応じたセグメント設計
MAツールを用いた分析で最も留意すべき点は、「複雑なセグメンテーションが必ずしも効果的とは限らない」ということです。条件を複雑に設定することで、見込み客の興味に沿ったマーケティング活動が可能になりますが、細分化しすぎると各セグメント内のリード数が減少し、成果を上げることが難しくなります。多くの見込み客がいる場合は問題ありませんが、数が限られている場合はシンプルな施策を行い、複雑なセグメンテーションに向けたリードジェネレーションを強化するのが効果的です。
2. 継続的な分析と改善が成功のカギ
顧客セグメントは設計するだけでは不十分で、分析と改善を繰り返すことが重要です。ユーザーのニーズや市場環境は常に変化しているため、パフォーマンスを分析し、新たなニーズに応じたセグメントを見直しながら、MAツールを使った施策を成功へと導くことが求められます。
3. 自然検索からの流入を強化する
見込み客を増やすためには、最低限のコストで自然検索からの流入を増やすことが必要です。質の高いコンテンツを継続的に公開・改善することで、ユーザーのニーズに応えることができます。施策を展開した当初はコンテンツを頻繁に更新していても、時間が経つにつれて更新が減少し、最終的に停止するケースが多々あります。MAツールを効果的に活用するためには、コンテンツの作成と改善を継続的に行える体制を整えておくことが不可欠です。
マーケティングに欠かせないSTP分析の重要性
「STP分析」とは、自社の顧客を明確に定義し、効果的なマーケティング戦略を策定するための強力なフレームワークです。この分析は以下の3つのステップから構成されています。
1、セグメンテーション:市場や顧客を異なるグループに分類します。
2、ターゲティング:狙うべき顧客グループと提供する製品を選定します。
3、ポジショニング:市場における自社の立ち位置を明確にします。
特に「セグメンテーション」は、全ての分析の基盤となる極めて重要な要素です。MAツールを活用する前に、入念なセグメント設計を行うことが求められます。顧客セグメントと行動履歴の組み合わせは多様ですが、最も重要なのは「自社のビジネスにとってアドバンテージとなるセグメント」を見つけ出すことです。
ただし、特定のターゲットを1社で独占することは非常に難しいのが現実です。そのため、細分化された市場の中で競合との差別化を図る「ポジショニング」を明確にする必要があります。
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本記事では、MAツールを活用した分析方法や顧客セグメントの設定について詳しく解説しました。各顧客から取得・蓄積できる情報が豊富にあるため、非常に細かなセグメント設計や分析が可能です。
しかし、どれほど詳細なセグメントを設計しても、見込み客の数が少なければ期待する成果は得られません。まずはシンプルな施策から始め、効果を分析し、改善を繰り返してセグメントの設計やマーケティング施策の精度を向上させていくことが大切です。
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